中耳炎の治療について
- 耳が痛む
- 耳だれがある
- 耳が詰まった感じがする、聞こえにくい
- 急に耳が痛くなった、発熱した
このような症状がある場合、中耳炎にかかっているかもしれません。
違和感を覚えたらなるべく早い段階で受診するよう心がけましょう。
中耳炎とはどんな病気?
原因は「耳」ではなく、「鼻」や「のど」から

多くの原因は風邪をひいたときに、鼻やのどから細菌やウイルスが入ってくることによって引き起こされるものです。
特に小さなお子様はまだ身体が成長途中のため、耳に細菌やウイルスが侵入しやすく、中耳炎にかかりやすいので、注意することが必要です。
中耳炎は急に発症し、治癒にはとても時間がかかる病気ですので、異変に気が付いたら早めに受診することが大切です。
かかったらしっかり治すことが大切です
中耳炎は突然発症しますが、完治するまでには時間がかかることがあります。
気を付けなければならないのは、完治しないまま放っておくと、細菌やウイルスが耳以外の場所に侵入し、重篤な合併症を引き起こす可能性があります。
通院は一苦労かもしれませんが、その後の合併症を回避するためにも、医師が「完治した」と判断するまで、治療を続けていきましょう。
お子様の中耳炎に気を付けてください

風邪を引いたり、花粉症などで鼻づまりが起きやすいお子様は、鼻がつまらないように鼻水を出してあげたり、こまめに気にかけてあげることを心がけましょう。
お子様は、自分の耳の異変を言葉で伝えることができません。我慢できないくらい痛くなるまでになったときには重症化していることもあります。
下記のような様子が見られたら、中耳炎かもしれません。不安な点がありましたら、お早めにご相談ください。
もしかしたら中耳炎かも?~ お子様の中耳炎セルフチェックシート ~
- 熱が下がらない
- 粘り気の強い鼻水が出続けている
- 耳をよく触る
- 呼びかけても反応が悪い
- 首を振ったり、嫌がる様子が多い
- テレビの音を大きくするようになった


子どもに多い中耳炎
当院は、お子様の受診率が高く(全体の約7割)、また中耳炎の治療例が多く、適切な治療で多くの患者様からご満足いただいております。

急性中耳炎・反復性中耳炎
かぜの後に耳を痛がる、機嫌が悪い、熱が出るといった症状があれば、急性中耳炎の可能性があります。
当院では、「小児急性中耳炎診療ガイドライン」に沿った治療を行っています。
治療には、抗生剤の飲み薬や点耳薬を使った保存的な治療から、鼓膜切開や鼓膜チューブ留置などの外科的治療まであります。
もちろん不要な切開は極力行わないことが大事ですが、免疫力の未熟な3歳未満の幼児や、薬剤耐性(抗生剤が効きにくい菌)の因子がある場合は、何回も中耳炎をくり返す反復性難治性中耳炎になることがあります。反復性難治性中耳炎になると、抗生剤だけの治療では限界があるため、何回もくり返し鼓膜切開術を受けることになります。
そのような場合は、保護者の方とよく相談した上でご希望があれば局所麻酔下での鼓膜チューブ留置術を行います。
特に小さなお子様や外耳道の狭いお子様はチューブ挿入が難しいので、総合病院などへ全身麻酔下でのチューブ留置術を依頼されることも多いのですが、当院では豊富な経験を活かして、ほぼ全例を外来での局所麻酔下で、短時間で負担を少なくチューブを留置できることが評価されています。

滲出性中耳炎
子どもの難聴の原因として発症頻度が高い疾患です。耳管(鼻と耳をつなぐ管)の機能が悪いために、鼓膜の奥に滲出液がたまり聴こえが悪くなりやすい病気です。
この耳管の閉塞にアデノイド肥大や副鼻腔炎などが関与することも多く、精査にてこれらの合併があれば同時に治療が必要です。
また、薬による内科的治療で滲出液が引かなければ、局所麻酔下に鼓膜切開術を行い、滲出液を吸引除去します。切開しても閉鎖して再発する場合は、局所麻酔下に鼓膜チューブ留置術を行い滲出液がたまらない状態にします。
このようにきちんと治療しておかなければ、その後に癒着性中耳炎や真珠腫性中耳炎といった手術が必要な進行した中耳炎に進展することがありますので注意が必要です。
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- 鼓膜切開が不安です…
- 不要な切開は行いません。お薬が効かず進行した中耳炎の場合、お子様の鼓膜の画像を保護者様にも一緒に見ていただき、納得していただいた上で切開やチュービングは行います。もちろん切開を行うことで痛みから解放され、それ以上の進行を防ぐことができます。
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- 鼓膜切開術やチュービングのときの痛み止めはどのようなものを使いますか?
- 鼓膜麻酔液を綿球に浸し、それを鼓膜上に置いて十分浸透させるため、痛みはかなり軽減されます。お子様は泣いてしまうことが多いですが、痛さからというよりも恐怖心から泣くので心配はいりません。ある程度の年齢のお子様には、保護者様から言い聞かせていただくとスムーズに行えます。
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- 切開後・チュービング後に気を付けることはありますか?
- 切開後・チュービング後、しばらくは耳から血や汁が出ますが、あまり心配せず、耳の入り口をそっと拭き取ってあげ、早めに受診するようになさってください。チューブを入れている期間に耳だれが出だした場合でも、慌てることなく数日内に受診していただければ大丈夫です。またお風呂についても翌日から入浴可能ですし、プールも飛び込みや水に潜ることはしないようにしていただければ、水遊び程度なら可能です。
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- 切開後・チュービング後、クリニックに通うペースはどれくらいですか?
- 切開後・チュービング後も、基本的にはまず翌日に受診していただき、状態を確認します。
切開後は、その後の耳だれの出方などにより、1週間後くらいまで2~3日おきに通院していただきます。チューブを留置した後は、切開後と同じペースで受診していただき、更にその後月に1~2回のペースで状態を確認するため、通院していただきます。その後の状態に応じて医師の判断により、チューブを抜く時期を決めていきます。
当院の中耳炎治療
症状に合わせてお薬を使った治療、日帰り治療を行っています。
*当院では「小児急性中耳炎治療ガイドライン」に沿った治療を行いますのでご安心ください。
お薬を使った治療
中耳炎の初期段階では、抗生物質や点耳薬よる治療で症状を改善します。
日帰り治療
鼓膜切開術
急性中耳炎、滲出性中耳炎などの場合に、鼓膜を小さなメスで切開し、膿や滲出液が溜まった中耳腔から膿や滲出液を抜き出す治療法です。
*ベッドに横になっていただき、施術いたします。
お子様の場合は、動くと危険ですので、専用ボードに固定させていただき、安全性を確保して手術を受けていただきます。
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1.麻酔
麻酔液に浸した綿球で局所麻酔を行い、痛みを感じないようにします。
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2.切開
鼓膜を小さなメスで切開し、そこから膿や滲出液を取り除きます。
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3.帰宅
施術が終わりましたら、そのままご帰宅いただけます。
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4.経過観察
翌日に受診していただき、状態を確認します。
1週間後くらいまで、2~3日おきに通院していただきます。
鼓膜チューブ留置術(チュービング)
反復性中耳炎など、中耳炎を繰り返す場合、鼓膜にチューブを入れて長期的に膿や滲出液が溜まらないようにする治療法です。
*ベッドに横になっていただき、施術いたします。
お子様の場合は、動くと危険ですので、専用ボードに固定させていただき、安全性を確保して手術を受けていただきます。
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1.麻酔
麻酔液に浸した綿球で局所麻酔を行い、痛みを感じないようにします。
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2.チュービング
鼓膜に切開用の小さなメスで穴を開け、シリコン製のボビン型のチューブを留置し、そこから膿や滲出液を取り除きます。
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3.帰宅
施術が終わりましたら、そのままご帰宅いただけます。
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4.経過観察
翌日に受診していただき、状態を確認します。
1週間後くらいまで、2~3日おきに通院していただきます。
その後は、月に1~2回受診していただき、チューブの状態を確認いたします。1年~2年ほど続け、症状の安定が見られる場合はチューブを抜きます。
※施術当日はシャワーはできますが、洗髪は控えてください。(特に問題がなければ、翌日から入浴も洗髪も可能になります。)
※チューブを入れてからは水遊び程度は可能ですが、飛び込みや水に潜ることは避けてください。